登山家・栗城史多さん、指数本を切断へ……エベレスト挑戦の重すぎる代償

私も国内ではあるが冬山登山を経験しています。
登山は季節を問わず苦しいものですが、特に冬山の苦しさは凄いです。
国内の2000m級の山でもそうなのですからエベレストなど想像できません。

今月18日に自身通算4度目の挑戦となるエベレスト登頂を断念した、
登山家の栗城史多さんですが、深刻な凍傷を負い、
無念のうちに下山されました。
そして、栗城さんを次に待ち構えていたのは、
自身の“指の切断”という過酷な現実でした。
冬山における凍傷は足1本、腕1本切断することもありえますが、
最も多いのは指の切断でしょう。
世界的に有名な登山家の多くも切断の憂き目にあっています。

栗城さんは過去3度の挑戦に失敗し、不退転の覚悟で挑んだ今回ですが、
山の神はまたしても若き登山家の登頂を拒みました。
下山後、両手指および両足指と鼻の凍傷が、
深刻な状態にあった栗城さんは即刻、入院しました。
そして、動かせない指の代わりに口述筆記によりTwitterを通じ、
現状を報告していましたが、同時に、
素人からも只ならぬ状態であることが分かる状態で、
ベッドに横たわる栗城さんを撮した写真も公開していました。
凍傷にやられるとその箇所はどす黒いような紫色になることが多いです。
また表情は笑顔であっても全身状態の悪さは酷いもので、
仮に例えるならば火傷の患部のような感じでしょうか。

そして30日にはブログを更新。
エベレストからの帰還後、連日38度の高熱が続いている状態で、
凍傷も重度で手足は動かせない状態だということです。
指の凍傷はさらに重度であるらしく、
「左手親指と両手の指数本は、
第一関節から切断することになりそうです」と、
栗城さんは報告していらっしゃいます。
ここまでひどい凍傷にやられたということは、
現場での恐怖はいくばくだったか想像できる範囲を超えてますね。

指を失う可能性があることについて栗城さんは、
「指を失うということはやはり悲しいこと」と、悲痛な思いをつづる。
凍傷により手足の指の多くを失ってしまった登山家は、
山野井泰史・妙子さん夫妻をはじめ決して少なくないとはいえ、
登山を続ける者にとってはやはり大きすぎる代償なのです。
栗城さんもまた、
「今後またエベレストやヒマラヤに行きたい気持ちに、
どこまで応えられるか正念場です」と、
再びエベレストに挑む気持ちがあるからこそ、苦悩をにじませる。
それでも、
「ホーンバイン・クロワールに向かって行ったことを、
後悔しているかというと、少しも後悔していません」と、
気持ちは前向きだそうです。
栗城さんのブログにあるように、確かに多くの有名登山家が、
凍傷により指を失いながらもその後も登頂困難な山を制しています。
ただこれは稀な事なんです。普通は登山断念となるはずです。
精神力以外の何か大きなものがなければ復活はできません。
また、栗城さんが目指しているのはエベレストで、世界最高峰なのです。
栗城さんが、神に選ばれた一人ならば復活されるでしょう。
それを願ってやみません。

「僕は、必ず復活します」――。
栗城さんはそう宣言してブログを結んでいます。
信じています。頑張ってください。