浜岡原発は21m…南海トラフ地震の津波想定

その津波想定は恐ろしいものだった。
内閣府の検討会において31日に公表した、
南海トラフの巨大地震によリ発生する津波想定は、
中部電力浜岡原子力発電所付近(静岡県御前崎市)を、
最大高さが21メートルの驚異的な巨大津波が襲うと予測し、
約10メートルを前提に計画していた同原発の、
津波対策の抜本的な修正を迫ることになると言ってもいいだろう。

昨年5月に政府の要請で運転停止した浜岡原発
中部電力は、最大マグニチュード(M)8・7の地震
遡上高約8メートルの津波が襲来すると想定していたのであるが、
東日本大震災後、M9、約10メートルの津波に引き上げ、対策を強化した。

以前より設置してあった高さ15メートルの砂丘堤防の背後に、
18メートルの防波壁を2012年末までに新設することに加え、
万一津波が乗り越えても原子炉建屋などが浸水しないよう水密化を徹底した。

しかし、検討会の津波高は防波壁を3メートルも上回ったのである。
地震の揺れについても、中央防災会議が03年に示した、
震度6強から7に引き上げられた。
中部電はこの日、
津波が防波壁を越えても冷却機能を維持する、
非常用電源の設置などを講じており、安全を確保できる」と話している。

しかし、枝野経済産業相は、
「当然、抜本的な安全対策を組み立てることになる」と話しており、
中部電に揺れの再計算や設備への影響評価に着手させる方針を示した。

静岡県川勝平太知事は「21メートルは深刻な数字」と追加対策を求めた。
再稼働問題にも言及しているのであるが、
「(対策の追加が)判断の条件に影響を与える」と語ったおり、
中部電力は待ったなしの対応を迫られるだろう。