人気高まるTOEIC、志願者減少に悩む英検

以前からその重要性と企業などで重視する傾向があったTOEICが、
さらに人気を高めてきている。

国際的な仕事に必要とされる英語力を測るTOEICの、
2011年度志願者数であるが、
なんと前年度比で3割も増加しており、約227万人に達したという。

英語テストの代名詞的存在であった、
英語力測定の分野で国内最大規模とである実用英語技能検定(英検)の、
11年度志願者数(230万人)にTOEICは肉薄、
このままの勢いが続けばトップの座を早晩獲得するだろう。
その背景には企業の国際化と学生の就職難、そして少子化が挙がるだろう。

日本でTOEICを運営する、
国際ビジネスコミュニケーション協会(東京)の分析では、
志願者急増の主な理由に、海外展開を急ぐ企業が、
昇進条件や新卒者採用の目安として、
使用を拡大させていることを挙げている。
担当者は、
「社員に英語力を身に着けさせないと生き残れないという、
企業の意識が強まっている。
学生の就職難で、大学もビジネス英語対策を強化せざるをえない」
と述べている。

「英語で意思疎通できる力は必須」。
今年7月に英語を社内公用語化するインターネットサービス大手、
楽天」の広報担当者はこのように述べた。
同社が今年度、通年で採用を予定している社員約400人のうち、
3割は外国籍となる見通しである。
確かにインターネットではまだまだ公用語は英語が多いのであるが、
楽天の雇用を日本人から奪うことはあまりいい気持ちはしない。
外国籍であっても英語ができるというだけで、
実際メインの仕事に日本人より優れているのか、
多分、楽天には人を育てようという気持ちがないのだろう。
また、昇進条件や入社条件にTOEIC点数を盛り込むという。
TOEIC信仰もここまでくれば害悪としか言いようがない。

大学のTOEIC対策にも熱が入っている。
同協会まとめでは10年度、全国456大学が学生の団体受験を行った。
このような時代に生まれてなくてホッとしている。
今後受験を行う人は非常に気の毒だと思うのだが・・・。

東洋大では今年度から、約3万人の学部生全員が年1回、
TOEICを無料受験できるようにした。この試みは素晴らしい。
同大広報課では、
「『英語力はあって当然』という意識が企業側に出てきている。
学生に学習を促すきっかけにしたい」と述べている。
就職のためにだけとはして欲しくないが、
とても学生のためになることであるから同大の方はこの制度、
有意義に使いこなして欲しいと思う。

取り組む学生たちも真剣!
明治学院大3年生の林拓郎さん(20)は、
1年半前からTOEICに挑戦している。
「多くの友達が受験しているので情報交換もできる。
ビジネス英語なので、卒業後にも役立つかなと思って挑戦した」という。
自己啓発としての挑戦は敬意を表する。
最初は400点がやっとだったが、昨年秋には800点を超えた。
先輩の助言に従い、忙しくても毎日勉強してきた。
「英語を生かせる仕事に就きたい。留学にも挑戦したい」と胸躍らせる。
きっとグローバル社会で活躍されることだろう。

一方、TOEICの猛追を受ける格好の英検は、
中学校以降の学習に沿ったレベル分けが特徴である。
中高生を中心に根強い支持があるのだが、
少子化を主な原因として志願者減少が減少し悩んでいる。
実施主体の日本英語検定協会では、
「小学校での英語活動必修化をきっかけに、英検への注目が再び高まった。
TOEICとの相乗効果で、英語教育への関心が高まれば」
と冷静に受け止めているのだが、そうそうのんびりともしていられまい。