新型の着床前診断で16人出産…学会指針に違反

私も子供が2人いますが妻の妊娠中に祈ったのは、
「五体満足で産まれてきて欲しい」それだけでした。
倫理とか神の領域とか平常の生活では口にしないことや概念を、
子供の妊娠出産についてのみ議論するのは如何と思うのですが。

体外受精による受精卵を子宮に戻す前にすべての染色体を調べ、
異常を見つけることができる新型の着床前診断が、
神戸市の産婦人科医院で不妊患者を対象に行われ、
これまでに16人が出産したことがわかった。
これは医学の進歩であり、親になりたいすべての人の願いを叶える、
素晴らしい医療技術で非常に歓迎すべきものと思えるのだが。

着床前診断は、異常の見つかった受精卵を除くため、
命の選別につながるとの指摘もある。
日本産科婦人科学会は会告(指針)で、
重い遺伝病の患者などを除いて認めておらず、今後、議論を呼びそうだ。
こういった学会とかいう一種の権威は日和見主義である。
着床前診断に付いても賛成の声を上げれば認めるに違いない。
子供の臓器提供でもそうだったように助かる命を助けるのが当然なのである。

この医院は、不妊治療を専門に行う、
「大谷レディスクリニック」(大谷徹郎院長)。
従来の着床前診断では、
23対(46本)ある染色体の一部しか調べられなかったが、
新型の「比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)法」だと、
すべての染色体を調べられる。
精度も従来より高く、ほぼ確実に異常を見つけられる。
このような診断法を確立したのはこの病院の私利私欲のためだろうか。
全くないとは断言はできないが、実際は赤ちゃんとその親のためだろう。
これまでの出産過程で多くの染色体異常のために苦しむ親を、
見てきたに違いない院長がそういった悲しみをなくしたいと思い、
先端技術を取り入れたのであろう。
そのことを誰が責められるというのか?

大谷院長によると、2011年2月から12年5月にかけ、
97組の夫婦に「新型」を1回ずつ実施した。
女性の年齢は28〜45歳(平均39・1歳)。
いずれも受精卵の染色体異常で着床しなかったり、
流産を繰り返したりした経験があり、中には過去に6回流産した女性もいた。
上記のことからもわかるように、
全く妊娠のための努力をしていないのではなく、染色体異常が原因で、
着床しないまたは流産を繰り返した女性が治療を受けているのである。
この治療に出会わなければ、
赤ちゃんの顔を見ることなく諦めていたかもしれない。

97組の中で、受精卵が順調に育ち、子宮に移植できたのは53組。
そのうち39人が妊娠し、16人が出産。
3人は流産したものの、20人が妊娠中だ。
そしてこの治療の結果約半数が出産又は妊娠中で出産に向けて頑張っている。
本当に喜ばしいことではないか。

受精卵を子宮に移植できた人の妊娠率は74%で、
通常の体外受精の妊娠率(39歳の平均で25%)と比べると、
3倍近く高かった。
私はこのように素晴らしい治療を絶対否定すべきではないと思う。
神の領域を犯すというのなら普段から聖書を読み、賛美歌を歌い、
マリア像に祈るべきではないのか?
日本産科婦人科学会という一種の権威は問題視するかもしれない。
その時は親が声を上げよう。
子供を産むことに関して親の声ほど大きな権威はないのである。